■林直幸氏(フリーランス)

■福沢諭吉氏(○○スタジオ)

■新渡戸稲造氏(△△写真館)

■渋沢栄一氏(スタジオ□□)

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撮りたいイメージを少ない機材で再現するためのアプローチ

一般のポートレートからアーティストまで幅広い撮影に対応する工夫

​林直幸氏(フリーランス)

Webや雑誌などを中心にアーティストや広告を撮影する一方で、七五三や家族写真の出張撮影でも活動する林直幸氏。出張撮影の有名マッチングサイト「fotowa」では常に人気上位を誇り、同サイト主催のセミナーにて講師を務めた経験もある。そんな林氏は、「世界最小のスタジオライト」を謳うプロフォト株式会社の「Profoto A1」を駆使し、さまざまな工夫のなかで画づくりを行っている。その活動内容、フォトグラファーとしての覚悟、やりがいなどについて伺った。

上:アーティスト「m-flo」。 「A1」1灯でアンブレラ(白)を用いた。下:主に富士フイルムの「X-T3」にて撮影している。「Air TTL」を用いたリモート撮影がメイン。

●作品づくりをしながら虎視眈々と仕事の機会を模索してきた

 理系大学を卒業後、アミューズメント施設でのスナップ撮影に従事していた林直幸氏は、その傍らで知り合いのスタイリストやヘアメイクアーティストとコラボレーションし、仕事とは別の作品づくりにも力を入れてきた。フリーランスになってからは、スクール系やウェディングなどへ仕事の幅を広げながら出張撮影マッチングサイト「fotowa」にも登録。fotowaでは常に撮影回数上位にランクされる人気のフォトグラファーとなっている。

 フリーランス以降も作品づくりを継続しながら、出版社や広告会社などへ持ち込んでプレゼンテーションを行っていた林氏。そうしたなかでアーティストや俳優の撮影、フォトブック会社の企画による作品集制作レビューなど、その後の仕事につながる関係性を次々と形成していった。現在、レギュラーでは音楽や映画情報を発信する総合カルチャーサイトをはじめ、複数の雑誌や進学系冊子、東京ソラマチのテレビ局公式ショップに関連した仕事などを手がけながら、一般のポートレート撮影にも注力している。

 林氏は写真を始めたころについて、次のように振り返る。「著名フォトグラファー・保坂さほさんの作品をWebで拝見した。そして『この写真を撮っている人に何が何でも会いたい!』という気持ちになり、無理矢理アポイントを取らせていただいた。そのときのコミュニケーションのおかげで『写真で生きていくのだ!』という覚悟を決めることができた。ちなみに保坂さんの著書『販売員だった私が売れっ子フォトグラファーになるまで』は、フォトグラファーに必要なコミュニケーション能力に関する話がぎっしり。どの分野で撮影しているかに関係なく、多くのフォトグラファーに読んでほしい」。

ミニマムの機材でフットワーク良く行動する

 一般のポートレートもアーティスト系の仕事も、都内を中心に主に電車移動で目的地へ向かう林氏は、できるだけ機材を増やさない工夫をしてきた。そこで購入したのが、「Profoto A1(以下、A1)」である。

 「前評判も良く、コンパクト。さまざまな可能性を感じたので早めに予約し、発売日には同ライトを手にできた。すぐにテストをして、連写性能やハイスピードシンクロ、バッテリータイプゆえの安定・タフさ・リサイクルタイムの速さなど、その性能を実感することができた。また光とは直接関係ないが、チャージ時のビープ音がいい。小さなストロボでこのように音で知らせてくれる機能はありがたい」と話す林氏は、基本的にスタジオや部屋など屋内での撮影にて「Air TTL」を介してリモートで「A1」を用いる。一方、七五三などのロケーション撮影は基本的にノンストロボで、必要な際はホットシューにて使用するとのことである。

 「私は常に、撮りたいイメージをできるだけ少ない機材で撮ることを考えており、1灯でいかに効率よく光りを回すか、その工夫が楽しい。柔らかめの光をフワッと広げたようなライティングが好きなので主にバウンスを前提にしている。表現によっては直接被写体に光りを当てることもあるが、円形の発光部により、いわゆるクリップオンストロボとは違う自然な感じを出すことができていると思う。アクセサリー類に関しては、グリッドキットとソフトバウンスを活用しつつ、他社製アダプターを用いてOCFタイプのソフトボックスやビューティーディッシュを使うこともある」とライティングにおける画づくりを説明する林氏。なお2灯でライティングをする場合は、モノブロック(「Profoto D1 500 Air」など)を用いるという。

左上:アーティスト「E-girls」。「A1」1灯でルーセントを用いた。左下:花火アーティスト・浦谷幸史氏。「A1」を直当て。右:アーティスト「Leola」。ソフトバウンスを用いている。

スピーディーに準備・片付けができる点もアドバンテージ

仕事における撮影は、写真そのものの技術はもちろんだが、時間との闘いでもある。とくにアーティストや俳優など、限られた時間のなかで撮影する必要がある被写体においては、セッティングやリサイクルタイムは生命線と言っても大袈裟ではないだろう。

 林氏は「通常のモノブロックや、ましてジェネレータ+ヘッドなどと比較して、だんぜん素早いセッティングが可能。その一方で、リサイクルタイムも完璧。単3電池仕様のクリップオンストロボとは比較にならない。資料によると、通常のクリップオンタイプよりも4倍以上の早いそうだが、これを実際に体感すると、もう従来の撮影環境には戻りたくない(笑)」とそのアドバンテージに満足の様子だ。

 そして「一般のポートレートでも、ロケーションの場合はミニマムの機材で行きたいし、ストロボが必要なときにも、お待たせすることなくサッと準備ができる『A1』は強い味方である。なお出張撮影は、撮られることのプロではない人々を撮影するので、コミュニケーションの力が大きなポイントだ。その土俵で学ぶことができていることは、何物にも代えがたいと思っている。今後も、技術を磨き、ライティングの工夫と道具の力で、さまざまなアーティストを撮っていきたい」と抱負を述べた。

これらの作例は出張撮影における1コマ。夕方で薄暗いなかでも「A1」1灯で光を回し、昼間の自然光のようなイメージづくりを行っている。下の静物は、仕事ではなく習作。上のポートレートと同様に、薄暗いなかでライティングを行った。家の場合、窓の向きや時間帯によって自然光で撮影できるとは限らないし、蛍光灯などによるミックス光も避けたい。「A1」を用いることで、ミニマムのライティングでも、ここまでの昼光感を出すことができている。